Column

ワークライフバランスに関して、現場の管理職の支援的姿勢がまだ十分に成熟していない

夏に、ある学会でワーク・ライフ・バランスについて講演する機会があり、その準備に、そしてそれ以降もワーク・ライフ・バランスに関して文献をいろいろ読んできました。
ワーク・ライフ・バランスを実現するためにはまず、フレキシブルな勤務制度の導入など、多様な制度、選択肢の充実がまず必要です。その面では欧米諸国はわが国よりもずっと先を行っています。
しかしそれら先行する英国や米国においてすら問題となっているのが、社員がそれらの制度を実際に利用できる職場風土が、とくに現場の管理職の支援的姿勢がまだ十分に成熟していないことです。
逆にたとえ会社にフォーマルなフレキシブル勤務に関するプログラムが無くても、現場の管理職が、当該社員が日ごろまじめに仕事をしている限りにおいて、自己の裁量において、「子供の育児や、不登校問題である期間、規定以上の短時間勤務を認めている」柔軟な職場もあります。実は私自身35年前に、日本企業で1年間のサバティカル休暇(無給)を申請し、認められた経験があります。もちろんそのような制度は無く、当時の上司と人事部の話し合いで認められた例外的処遇です。

制度の充実、そして管理職の教育、ワーク・ライフ・バランスを奨励する職場風土、いずれも人事部がイニシアティブをとって改善を進められる分野です。
社員も「私はしっかりと仕事、与えられた課題をこなしている」自負があれば、職場において「今日は仕事が効率よく終えることが出来ましたので、定時退社します」あるいは「来月に1週間、休暇をとります。その間の仕事の手配は事前に済ませる予定です。」と堂々と自己主張する姿勢を少しずつでも打ち出して欲しい。伝統的なワーク&ワークの文化を持つ職場でも、それを実践し、なおかつ上司、周囲からその実力を認められている社員があなたの周囲にも必ずいるはずです。

PMI News#31では、キャリアとワークライフバランスについて、特に、人生をいかに過ごすかという視点を持つことの大切さについて考えてみました。

2008年11月

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PMI 野尻賢司が主宰するパフォーマンス・マネジメント研究所Column>ワークライフバランスに関して、現場の管理職の支援的姿勢がまだ十分に成熟していない