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評価制度

業績評価はアートなり

日本の評価制度がカオスにはまり込んだのは、「成果の定量化、それに基づく客観的な評価が可能である。」「定量化を実現するために精緻な評価の仕組みが大切。」とし、その導入を推奨したコンサルタント会社の責任です。  私が米国本社人事部でよく聞いたのは「業績評価や給与制度は宇宙科学とことなり、アートの世界だよ!」という言葉であった。たとえ成果の定量化を合理的に実施しようとしても、必ず評価者の主観が入るのです。そして、その事実を社員も、ラインの管理者も知っているゆえに、人事部が声高に「公平公平」と宣伝すればするほど評価制度に対する不信感が高まるのです。業績評価はアートなりと割り切って説明を開始するほうがずっと納得性が高くなるのです。

社員間で有意差がなければ無理に評価の差をつけなくてよい

今問題になっている成果主義で、一番の問題は「どんぐりの背比べで、そう大きな差がないのに評価の差をつけるように強いる」という点です。「誰が見ても合意するような貢献度の大きな差がある時にのみ差をつける」という当たり前のことをすればよいのです。その趣旨から当研究所では3レベルの相対評価を提案しています。          また信頼性のない定量化を実施し、総合点の1点、2点の差で評価を決めるということよりも、What(何を達成したか)とHow(どのようなプロセスで、どのようなスキルを発揮して達成したか)を具体的に確認・フィードバックをし、次年度によりスキルの改善を目指すという文化がより大切なのです。  直属の上司が1年間、継続して、対話を行い、観察しておれば、部下のなかで、 レベル(職級)毎に、誰の貢献が相対的に一番大きかったかは、詳細な定量化がなくても判断できるはずです。そしてその判断のほうがより的確なのです。  評価の基本はWhat (この一年間業績として何を達成したのか)とHow (どのようなスキル・能力を持ち、どのようなプロセスで実現したのか)を区別して確認することです。スキルが高く、適切なプロセスを実施できる人は優れた成果を何度も再現できる力を持ちます。その意味で、安易な成果主義(結果よければすべて良し)でなく、組織の実力を高める上でこのHowをしっかり見定める必要があるのです。 kyuyo01.gif
PMI 野尻賢司が主宰するパフォーマンス・マネジメント研究所Consulting>評価制度