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ディシジョン・ダイナミックス社開発のドライバー・ダイナミック・ディシジョン・スタイル・モデル

解決案の絞込み:ユニ・フォーカスとマルチ・フォーカス

ある問題を解決しなくてはいけない必要性に迫られた時、ある人は、その状況に対してベスト又はもっとも実行可能と思われる、確実な解決案をひとつ提案します。私達は、これを「ユニ・フォーカス(ひとつの選択肢)」型と呼びます。また、別の人は同じ状況に遭遇した場合、様々な解決案、選択肢を考え出します。これを「マルチ・フォーカス(複数の選択肢)」型と呼びます。下図は、これら二つの型を描いています。

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情報の利用量と解決案の絞込みとは、完全に無関係であるということを、憶えておいてください。マキシマイザーとサティスファイサーは、どちらも同じ様に、ユニ・フォーカス型、あるいはマルチ・フォーカス型になりうるのです。ユニ・フォーカスとマルチ・フォーカスの差は、営業戦略において容易に識別することができます。マルチ・フォーカス型の人は、いくつかの産業にまたがるような戦略も含め、様々な戦略を好みます。彼らは、「自分のエリアだけに専念する」戦略よりも、むしろ多種多様なビジネス及び諸活動のミックスを好む傾向にあります。一方、ユニ・フォーカス型の人は、ひとつの産業、あるいは一生産ラインに限定した戦略を好みます。あまり多面化することは気が散り、効率が悪くなると見なす傾向にあります。彼らは、明解なフォーカスを持っているのです。

フォーカスの違いは、人と人との間に緊張を生む主な原因となっています。ユニ・フォーカス型の人は、一般に、物事を行う場合、何が最善策であるかについて非常に強い意見を持っています。どのような状況に直面しても、コスト、質、公正さというような非常に明快な評価基準を持っており、それによって解決策を評価してゆきます。通常、自分の評価基準や目標に対比させながら、一番良いと思われる解決策を見つけようとします。一方、マルチ・フォーカス型の人は、解決策を評価するためにしばしば多くの評価基準を用います。言葉をかえれば、彼らは数多くの目標を頭に描いているのです。従って、ある解決策がある評価基準に非常に合う一方、他の評価基準に対しては他の解決策の方が、ぴったり合う場合もあるわけです。結果的に、彼らは、いろいろな代替案に対してオープンな気持ちで接し、また暫定的なものとして考える傾向にあります。
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Copyright: Decision Dynamics Corporation

意思決定スタイルを診断するためのフレームワーク

ディシジョン・スタイルを診断する為にPMIが使用しているフレームワークは、マイケル・E・ドライバー博士により独自に開発されたコンセプトから発展したものです。「ドライバー・ダイナミック・ディシジョン・スタイル」と呼ばれる現在のモデルは経営意思決定の力学を、20年以上にわたり研究した結果、生まれたものです。このモデルは2つの基本的な部分から構成されています。一つは、問題解決および意思決定の際に、人が通常使用する情報量に関するもの。もう一つは、一つだけのアクションに的を絞るのか、あるいは、いくつもの代替案やオプションを考え出すのかという絞込みの度合い、つまり、個人のフォーカス(焦点)に関するものです。

情報の利用:マキシマイザーとサティスファイサー

意思決定の際に利用する情報の量は、人により大きく異なります。ある人は、ほんの二、三の事実でもって結論に至り、また別の人は、かなりの量の情報を集め、検討した後においてのみ結論にたどりつきます。下図は、情報を多く利用する人と、あまり利用しない人との差を描いています。まず、この曲線は、意思決定する時に参考にする初期情報が状況理解に強く影響するということを示しています。通常、最初に知る事実は、その状況についてすでに多くを知った後になって考慮する情報よりも、ずっと価値を持つものです。初期の段階で、知識はゼロからかなりのレベルまで増えます。情報が、本当に開眼の力を持つ時です。サティスファイサー(最小限の情報で満足するタイプ)はBの時点で、意思決定に十分な情報を得ていると判断するのです。一方、私達がマキシマイザー(可能な限り多くの情報を求めようとするタイプ)と呼ぶ人々は、その問題についてこれ以上何一つ学びうることは無いという所に至るまで、情報を分析し続けます。 3d02.gif Copyright: Decision Dynamics Corporation

五種の基本的ディシジョン(意思決定)・スタイル

情報の利用量を示す二つの型と解決案の絞込みに関する二つの型のマトリックスにより、基本的に異なる幾つかのディシジョン・スタイルに類型化できます。下表は、これらのスタイルを示すとともに、各スタイルの主な特徴を表しています。

状況にさえ合えば、それぞれのディシジョン・スタイルは、それなりにメリットを持っています。そして、どこの組織でも、これらのスタイルのミックスが、見られるものです。成功している組織は、各々のスタイルの長所を最も良く利用しているようです。このダイナミック・ディシジョン・モデルは、組織のメンバー間で彼らの類似性や差異について論議するための、共通のフレームワーク及び言語を提供します。グループに対し、他のスタイルの価値や利点に気づく方法も教えてくれます。結果的に、より大きな協力が得られ、お互いの信頼が築かれ、チームとしての効果が生まれてくるのです。
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PMI 野尻賢司が主宰するパフォーマンス・マネジメント研究所Consulting>ディシジョン・ダイナミックス社開発のドライバー・ダイナミック・ディシジョン・スタイル・モデル